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特集未来へつながる新世代移動通信5G

5G(第5世代移動通信システム)について

 2020年3月、国内の携帯電話大手3社が相次いでサービスを開始した5G。携帯電話販売店には5G対応のスマートフォンが並ぶようになりました。その一方で、実態が分からない、何が変わるのかピンとこない、という人もいるかもしれません。
 5Gとは「第5世代移動通信システム(5th Generation)」の略。5Gの「G」は「Generation(世代)」を表し、携帯電話などのモバイルデバイスへ通信環境を提供する移動通信システムの第5世代にあたります。1970年代後半、音声通話中心の第1世代に始まり、通信のデジタル化とデータ通信を実現した第2世代、世界標準の通信規格となった第3世代、スマートフォンで動画やオンラインゲームを楽しめるようになった第4世代を経て、発展してきた移動通信システム。さまざまなモノがネットワークにつながるIoT時代に向けて5Gは、その基盤となり新たなビジネスの進展に貢献すると期待されています。

未来へつながる新世代移動通信5G

 5Gの特徴は「超高速?大容量」「超低遅延」「多数同時接続」。これらが実現すれば、IoTや自動運転、医療やモノづくりの現場で活躍するロボット、AI(人工知能)など先進的なテクノロジーの実現を後押しするといわれています。
 5Gによって変わるこれからの暮らしについて、理工学部 情報工学科の柳田康幸教授にお話を伺いました。

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理工学部 情報工学科

柳田 康幸 先生

Yasuyuki Yanagida

東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了 博士(工学)。20年以上にわたりVRの研究に従事。現在はVR技術を中心に、五感を通して人間と情報世界とのやりとりをするインターフェースの研究を行っている。

新たなビジネス?教育のスタイルが誕生

 コロナ禍において、リモート授業やリモート会議を経験された方も多いかと思いますが、通信が途切れる、タイムラグが生じるなどのトラブルはなかったでしょうか?これらの不具合は、5Gの「超高速?大容量」「超低遅延」によって改善されるはずです。さらに、AR(拡張現実)やVR(バーチャルリアリティー)と組み合わせれば、遠隔地の相手とも目の前にいるかのようなコミュニケーションが実現し、新しい仕事や教育のスタイルも誕生するでしょう。

 すでに一部の企業などで運用が始まっているVRオフィスやVR教室は、トラッカーと呼ばれる運動計測装置などで計測したデータを基に作成したアバター(自分の分身キャラクター)を使ってVR空間の会議や授業に参加できるサービス。自宅では、VR専用のヘッドマウントディスプレー、マイク付きモニターヘッドホン、パソコンなどを使って、VR空間の中でアバターを動かします。本当にその場にいるような感覚で会議や授業に参加でき、周りの人の反応をリアルに感じながら、双方向のコミュニケーションが可能です。

エンタメやスポーツの楽しみ方が変わる!その価値は「時間の共有」

 さまざまな産業分野での技術活用が期待される5Gですが、まずはゲームやスポーツ観戦などエンタメ分野での市場化が進むと考えます。近年、ゲームを競技スポーツとして競い合う「eスポーツ」が盛んですよね。一瞬の操作の遅れが勝敗を左右する対戦型ゲームでは、ネットワークの遅延は致命的。5Gの登場は対戦型ゲームをはじめとするeスポーツのさらなる盛り上がりにつながるでしょう。

 スポーツ観戦やコンサート鑑賞では、会場内の多数の小型カメラを駆使したさまざまな視点からの観戦?鑑賞や、選手やアーティストの情報を視聴できる「マルチアングル視聴」が、5G時代の新しい観戦?鑑賞スタイルとして注目されています。とはいえ、その醍醐味(だいごみ)は、何といってもその時間?場所にいてこそ得られる臨場感や一体感。5GとIT技術の組み合わせによって、多数の人がつながり、双方向のコミュニケーションが遅延なく取れるようになれば、どこにいても臨場感?一体感ある時間を得ることが可能です。

 図らずも、私たちは新型コロナウイルス感染症の拡大によって、人とつながるコミュニケーションの大切さに改めて気付かされました。5Gが実現する「時間の共有」は、ニューノーマルな日常の中で、大切な役割を担ってくれるのではないでしょうか。

自宅で商品の手触りを確かめながらショッピング

 私の研究室では、遠隔地にいながら手触りが感じられる「触覚ショッピング」に関する研究を進めています。具体的には、いくつかのセンサーを使ってモノに触ったときの圧力や振動、温度などの情報を読み取り、利用者が装着している触覚デバイスに送信する方法です。これが実現できれば、例えばマフラーやセーターのチクチクや柔らかな肌触りが、家にいながら確かめられるようになります。ただし、同じモノであっても触り方や触る場所によって伝達される情報が変わり、技術的に難しい点もありますが、5Gの登場により実現化に向けて一気に加速していくはずです。