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特集新型コロナが進展させた働き方の変化

コロナ禍で見えてきた日本の働き方の現状と未来

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、私たちの働き方は大きく変化したと言われていますが、実際はどうなのでしょうか。コロナ禍の日本における働き方の現状と今後について、「キャリア?デザイン論」「ワーク?ライフ?バランス論」の講義を担当する五十畑先生に伺いました。

経営学部 経営学科

五十畑 浩平 教授

Kohei Isohata

1978年東京生まれ。青山学院大学文学部、大阪外国語大学(現?大阪大学)外国語学部卒業。2011年中央大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。中央大学経済学部任期制助教、香川大学特命助教などを経て、2016年から名城大学経営学部准教授。2021年から同教授。専門は、フランスにおける若年者雇用問題、職業教育、人材育成など。
主要な著書に『スタージュフランス版「インターンシップ」:社会への浸透とインパクト』(単著?日本経済評論社)、『フランス―経済?社会?文化の実相』(共著?中央大学出版)などがある。

新型コロナウイルス感染症によって日本の働き方は変わったのか

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、半ば強制的に広がったテレワークは、働き方改革に関する議論にも火をつけました。テレワークは、リモートワーク、在宅勤務などとも言われ、情報通信技術を活用し、時間や場所の制約を受けずに自宅などで柔軟に働く形態を指します。通勤時間帯の密の回避やワークライフバランスの実現などのメリットが挙げられる一方、現在焦点となっているのが、組織のメンバーがリモートで仕事をする際に、どのように生産性を向上させるのか。各人の職務の定め方や人事評価制度?人材育成の在り方などを含めた環境の整備が重要になってきますが、実際には多くの日本企業で対応が追い付いていないのが現状です。

テレワークと生産性。改めて見直される職場の意義

 例えば、海外の研究によれば、テレワークは週2日程度が最も効率的で、生産性が上がるというデータが出ています。週1日の場合は準備に手間を取られるだけで、ストレス低減や意欲向上、ワークライフバランスの実現などテレワークならではのメリットを引き出すまでに至りません。また、週3日以上になると会社や同僚との関係性が希薄となり、社員の孤独化や生産性低下につながります。そもそも、ワークライフバランスによって生産性が高まるのは、「仕事ができる人」が前提です。人によってはメリハリをつけることができず、むしろ生産性の低下につながってしまうこともあると考えます。
 また、オフィスの「不要論」「縮小論」も盛んになってきていますが、その前に「オフィスの役割」にも目を向ける必要があるのではないでしょうか。立教大学の中原淳教授の著書「経営学習論」をもとにすると、オフィスには仕事をする以外に少なくとも四つの役割があると私は考えます。
 一つ目は「学習機会」。OJT(On-the-job training)などをはじめ、実務を通じてさまざまな学習機会を得ることができ、自然に学ぶことが可能です。
 二つ目は「支援の場」。1人でできないことを、同僚?先輩?上司の支援を受けることで、徐々にできるようになります。中原教授の研究によれば、支援者から仕事の在り方を客観的に振り返る「内省支援」を受けることで、能力向上につながることが分かっています。
 三つ目は「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」。これは人のつながりを一つの資本とみなし、協調行動が会社などのコミュニティーの効率性を高めるという考え方で、信頼関係や互酬性(助け合い)規範などがこれに当たります。例えば、残業中の上司との雑談は一見無駄に思えますが、上司と部下との関係構築の時間と捉えれば、決して無駄な時間ではありません。信頼関係が構築されている職場では、成功体験だけでなく失敗談も共有できるようになるため、お互いの能力向上につながると言われています。
 そして、四つ目が「成長の場」。中原教授の研究では「革新的な職場が人を育てる」とあり、職場での新たなチャレンジと人を育てることは、相互に関連しています。挑戦は発達の可能性を掘り起こすだけでなく、同僚?先輩?上司などからの支援を生じさせます。支援を受けながら内省し、気付きを得て、能力の向上が期待できるのです。

 テレワークなどヴァーチャルによる必要最低限のコミュニケーションだけでは、これらの役割を果たすことは難しく、人材育成において支障が生じてくることは明らかです。従業員の出社が半減するから、面積も半分...といった短絡的な発想ではなく、使い方に応じて必要なスペースを過不足なく確保し、どのように四つの役割を果たすオフィスをつくっていくのかが、これからの時代における働く環境づくりのヒントにつながるのだと考えます。

コロナ禍で変わる、広がる、雇用スタイルと働き方

 コロナ禍を機に、企業の雇用スタイルにも変化が起きつつあります。
中でもテレワークの普及で注目が集まったのが、欧米で一般的な「ジョブ型雇用」。仕事の範囲を明確にすることで「より専門性を高める」雇用スタイルです。労働時間でなく職務や役割で評価を行い、職務内容を基準として報酬が支払われ、基本的に配置転換や転勤はありません。自立したスキルアップやセルフマネジメントが前提とされているため、リモートワークに適合しており、優秀な人材確保の観点からも導入を進める企業が増えています。ただし、何らかの事情でその職務が不要になった場合、すぐに解雇されるなど柔軟な雇用調整ができないといった問題が生じます。また、定期的な異動や昇進がないため、自分からキャリアアップを望まない限り、一生同じポスト、同じ給与で、同じ仕事をすることになるでしょう。

 一方で、私たちになじみのある日本型の雇用スタイルが「メンバーシップ型雇用」です。労働時間や勤務地、職務内容を限定しない「総合職採用」と言えば、イメージしていただきやすいでしょうか。「メンバーシップ型雇用」には、総合職?一般職?専門職採用で分けられている企業もありますが、一般的な日本型の雇用スタイルの多くは採用後にジョブローテーションを行い、さまざまな職務を経験。会社側でキャリアの道筋を用意し、将来を担う人材としてじっくり育てていきます。終身雇用、年功序列を背景にしている制度であるため、会社への帰属意識は高くなるものの、専門職の人材が育ちにくいといったデメリットも指摘されています。

 「ジョブ型雇用」で求められているのはスペシャリスト。「メンバーシップ型雇用」では将来のゼネラリストとして育成していく点が大きな違いになります。もちろん、どちらの雇用スタイルにも利点があり、どちらが優れているということではありません。
また、ここ数年でみれば、兼業や副業などを促す機運が高まり、フリーランスという働き方がこれまで以上に注目されています。しかし、こうした流れにも注意が必要で、極端な話、今後は一部の管理職以外は雇用せず、すべて専門性の高いフリーランスで構成された会社組織が誕生する可能性すらあります。日本型雇用がすぐになくなるわけではありませんが、今まで以上に一人一人が、自身の働き方、キャリアをどう選択し、形成していくのかが問われる時代になるのではないでしょうか。

変化し続ける世の中に対応できる力を手に入れるには

 世の中の変化をふまえ、これから社会に出ていく方、キャリアを築いていく方には、自身が「世の中に提供できる価値は何か」「どんなことで社会に貢献したいのか」を常に意識し、将来について主体的に考えていってほしいと思います。
 アメリカの心理学者、エドガー?シャインは、キャリアを決定する上で、自分自身の「キャリア?アンカー」の理解を提唱しています。「キャリア?アンカー」とは、生きていく上で最も重要な価値観やよりどころのこと。キャリア?アンカーは八つに分類され、一度形成されると生涯にわたり職業上の重要な意思決定に影響を与えると言われています。社会人経験がない人、少ない人は認識しにくく、自身のキャリア?アンカーを自覚するには最低でも3年以上の職務経験が必要だとされています。

エドガー?シャインが提示したキャリア?アンカーは、以下の8種類に分類されます。

では、キャリア?アンカーを見つけるには、どうしたらいいのでしょうか?
 大切なのは、主体性を持ってさまざまな経験を積むこと。たくさんの経験を積む中で、最初は大きくブレていた自分の軸がだんだんと定まっていきます。シャインはそういった軸を船の「いかり(アンカー)」に例えてキャリア?アンカーと言っているわけです。
また、アメリカの教育心理学者、ジョン?D?クランボルツが提唱した「計画的偶発性理論」によれば、個人のキャリアの約8割は予想しない偶発的なことによって決定されるとも言われています。今の価値観だけにとらわれるのではなく、会社や上司から与えられた業務をはじめ、偶然与えられる機会に、まずはチャレンジしてみる。行動して、失敗して、トライ&エラーの繰り返しの中で、おのずとブレない価値観が見えてくるはずです。そして、そのように何事にもチャレンジし続ける姿勢こそが、変化し続ける世の中で生き残れる力につながっていくのではないでしょうか。